なぜ、すき焼きに卵なのか


日本人が卵を一般的に食べるようになったのは、江戸時代にさかのぼります。
当時は、今まで程消費量は多くなく、食生活の欧米化が進んだ明治時代・冷蔵庫が普及した高度経済成長期以降に、多く食べられるようになりました。

現在では、世界第2位の卵消費国となり、日本人の卵好きが見てうかがえます。

一方、すき焼きが食べられ始めたのは明治時代初期。
牛肉を食べることが文明開化の洗礼を受けることであり、明治6年には浅草・神田界隈で74軒だった牛鍋屋も4年後には東京で558軒が軒を競っていました。

その時に、欧米化の煽りと相まって牛鍋と卵が飛躍的に消費され始めたと推測できます。
その二つが交わることとなった、理由は諸説あるのでいくつかご紹介させて頂きます。

①江戸っ子の影響
江戸時代後半、まだ牛肉文化がないころ主流だった鍋といえば鴨鍋やどじょう鍋があげられます。これらは最後に卵でとじるのが主流でした。
しかし、気の早い江戸っ子は、蒸している時間が待てずに卵につけて食べ始めてしまっていました。
牛鍋がはやり始めた時も、江戸っ子たちは気が早いままで、卵につけて食べ始めてしまった。と言われています。

②徳川綱吉のおかげ
江戸時代初期、第五代徳川綱吉が生類憐みの令発令しました。
その時に、軍鶏鍋が多く食べられと言われています。
軍鶏は淡白な味わいだったために、味に深みを出す為卵をつけて食べていたといわれています。
その名残が、牛鍋にも影響し卵をつけ始めた。と言われています。

③牛肉を食べなれていなかった為
明治時代に入り、急に牛肉を食べ始めた日本人。
今まで食べていなかった食材の為、味のクセを非常に感じていたといわれています。
そこで、クセを隠すために卵にくぐらせて食べていた。と言われています。

上記3つの理由も、正しいのか間違っているのか、見分けることは困難かと思います。
ご自分のお好きな説で構わないと思いますので、明治時代の牛鍋を思いながら、現在のすき焼きを楽しむのも良いかもしれませんね。